動物が空を飛ぶとき

地球で生きている動物には空を移動するものがいます。鳥や昆虫、哺乳類ではコウモリ、魚類ではトビウオが空を飛び移動することがあります。

 

動物が地球上で空を飛ぶ場合に問題になるのは重力です。地球が生み出す重力に打ち勝つ事ができなければ空に飛びあがる事はできません。

 

空の飛び上がるために動物はさまざまな進化をとげてきました。体重を軽くしたり、空気抵抗をできるだけ少なくするために長細い体にしたり、また空に飛び立つための力を生み出す筋肉などを獲得してきました。

 

動物でまず空を飛んだのは昆虫でそのあとに爬虫類が空を飛んだと考えられています。鳥や哺乳類が空を飛ぶのはそのあとだったと考えられます。

 

動物の進化の研究から空を飛ぶという行動はさまざまな時代において動物たちは独自に獲得してきたと考えられています。

丸くなったり転がったり

動物の中には移動するときに自分の体を丸くして転がるように移動するものがいます。いくつかのトカゲやガの幼虫は驚いたときや危険が迫ったときに自分の体を輪っかのようにねじ曲げて丸くして地面の上を転がります。

 

動物が体を丸くして移動するときには重力や風の力を利用します。ペブルトードというちいさなカエルは崖の上などでヘビやトカゲなどに出会うと体をちいさく縮めて小石(ぺブル)のようにして崖の上から転がるように落ちて逃げます。

 

全身を固いうろこで覆われているセンザンコウやアルマジロの中には身に危険が迫ると体を丸めて身を守るものがいます。また丸まった状態で斜面を転がり移動することもあります。

 

動物たちは自分の体の特徴を上手く利用して生きています。

海の中を飛行する動物

大空を鳥たちが翼を使って飛び回るように海の中に生きる動物たちも翼を使い飛び回っています。水中翼またはハイドロフォイルと呼ばれるヒレを使って魚やウミガメは進む力を生み出します。

 

ペンギンやカメは水平のヒレを上下に動かしながら海の中を飛ぶように泳ぎます。水中翼を使う動物たちはヒレの角度を変えながら進みます。水をとらえるヒレの表面積を変えることで水の抵抗を抑えることができます。

 

サメなどの魚類は尾ビレが垂直でイルカやクジラなどの哺乳類は尾ビレが水平になっています。サメは体を横方向にイルカは体を縦方向に動かして移動します。

 

海の中を泳ぐときには大きな抵抗が働くので動物たちはヒレなどを使い強い力を生み出すことが必要になります。

とっさの時の二足歩行

ふだんは四足歩行している動物が驚いた時や敵から逃げるときなどに短い時間だけ二足歩行する場合があります。これらの動物は二足歩行できるにも関わらず通常は四足歩行で移動しています。

 

ゴキブリはゆっくり歩いているときは6本足で移動しています。しかし逃げるときなど速く移動しなければならないとき二本足で走ります。いくつかのトカゲもふだんは四足歩行していますが二本足で走ることがあります。

 

ゴリラやキツネザルなどの霊長類の仲間もふだんは前脚を地面に付けて移動しますが敵を威嚇する時などに短い距離を二足歩行します。

 

四足歩行する動物が速く走る場合に二足歩行する傾向があります。

3本足の動物はいない

地球上に住んでいる動物の多くは足の数が偶数であることが知られています。現在足の数が3本ある動物は確認されていません。

              

トリぺダル運動とは3本の足を使った運動のことです。動物の中にはトリペダル運動を行っていると見なせる動物がいます。カンガルーはふつう2本の足を使い跳ねるように移動しますが休む時にしっぽを地面に付けて体重を支えます。

 

イトヒキイワシという深海魚は三脚魚とも呼ばれ左右の胸ビレと尾ビレが長く伸びていてそれを海底に立てて獲物を待ち伏せします。

 

かつて存在した動物の化石においても3本足の動物の記録は残っていません。

体をうねりながら進む

ヘビやウナギなどの手足をもたない動物はふつう体全体をうねらしながら進みます。この動きによりヘビは地面を這い、ウナギは水の中を泳ぎます。

 

この動きはアンジュラトリー運動とも呼び多くは手足をもたない動物が行いますがトカゲやワニなどの手足のある爬虫類がこの運動を水中で行う事があります。

 

うねり運動は体全体を縦や横方向に動かし周りの環境との間に力が生まれて、それを利用して前へと進んでいきます。

 

水中を移動する生物の中にはうねり運動によりとても速いスピードを得るものもいます。

2本の足で歩く、走る、そして跳ぶ

人間は2本の足を使って歩く事ができる数少ない哺乳類のひとつです。哺乳類が2本の足を使い立ち上がる事は多いのですが、その状態のまま歩く事ができるものは限られています。2本の足を使い歩くことを2足歩行またはバイぺダリズムといいます。

 

鳥が地上を移動するときは2本の足を使います。ダチョウは2足歩行で最も速く移動できる動物です。現存している爬虫類の中には2足歩行するものは少ないですが中には2本の足で走るものもいます。そしてかつて存在していた恐竜の中にも2足歩行を行ったものがいたと考えられます。

 

2足歩行の状態には多くの動物が行う起立(スタンディング)や人間などが行う歩行(ウォーキング)、両方の足が地面から離れる走行(ランニング)、キツネザルやスズメなどが行う跳躍(ジャンピングまたはホッピング)があります。

 

人間がどのように2足歩行ができるようになったかはまだ謎が多いですが2足歩行を行う事で両手が使えたり遠くを見渡せるようになりました。